転職といえば、私も若い頃何度か転職を繰り返した覚えがありますが、転職を考えるのに年齢は関係ない。いくつになっても転職してもいいはずです。
しかし、年齢が高くなるほど転職は厳しいと言われています。そんなふうに言われてまで転職するには何か理由があるはずです。転職を考える中高年層はどんな理由があるのでしょう。また中高年層の転職が厳しい理由とはなんでしょう?厳しい転職に成功するためにはどのようなことに気を付けたらよいのでしょうか?それらをひとつずつ検証していきましょう。
転職を考える中高年の悩み
・パフォーマンスが正当に評価されていない
・ルーティンワークばかりでスキルが積み上がらない
・上司と部下の板挟みでストレスを感じる
上記のように、労働環境や人間関係を理由に転職する人はとても多い。転職理由は人によってさまざまですが、転職理由として多いのは次の通り。
50~55歳 男性 | 55~59歳 男性 | 50~55歳 女性 | 55~59歳 女性 | |
1位 | 会社都合(16.4%) | 会社都合(14.9%) | 職場の人間関係が好ましくなかった(12.6%) | 職場の人間関係が好ましくなかった(16.2%) |
2位 | 職場の人間関係が好ましくなかった(9.5%) | 労働時間・休日等の労働条件が悪かった(9.6%) | 定年・契約期間の満了(11.8%) | 定年・契約期間の満了(12.5%) |
3位 | 仕事の内容に興味が持てなかった(6.6%) | 定年・契約期間の満了(8.1%) | 会社都合(10.1%) | 介護・看護(8.2%) |
4位 | 会社の将来が不安だった(5.9%) | 職場の人間関係が好ましくなかった(7.6%) | 能力・個性・資格を活かせなかった。(7.6%) | 会社都合(8.1%) |
5位 | 能力・個性・資格を活かせなかった。(4.9%)給料等収入が少なかった(4.9%) | 給料等収入が少なかった(6.66.6%) | 労働時間・休日等の労働条件が悪かった(7.1%) | 労働時間・休日等の労働条件が悪かった(6.6%) |
50代男性は会社都合の転職理由が1位、女性の場合にも3位と4位にあります。
50代男性の転職理由1位:会社都合
・会社の経営不信による倒産
・人員削減によるリストラ
・部署の統廃合
会社側の都合でやむなく転職をせざるを得ないことです。
50代女性の転職理由1位:職場の人間関係
「職場の人間歓迎が好ましくない」という理由。1日の大半の時間を占める仕事において、人間関係の悪化は精神的ストレスに直結します。
上記の表は59歳までの調査です。これとは別に令和3年厚生労働省の調査で前職を辞めた理由別割合という調査結果があります。
男性の60~64歳は62.9%、65歳以上は57.6%
女性の60~64歳は49.1%、65歳以上は33.9%
これ、なんだと思いますか?
実はこれは定年・契約期間の満了に伴い会社を辞めることになった割合です。
まだ、働けるのに会社を辞めなくてはならないハメになりやむを得ず転職を考えたということです。
このように年齢によって転職を考える理由はさまざまあります。
パフォーマンスが正当に評価されていない
組織の中で仕事をしていると、パフォーマンスが正当に評価されない。頑張っても努力が報われないなとど感じることがあります。自分がが会社に貢献して結果を出していても正当な評価を得られない、周りから信頼されて仕事もできていても会社から評価されないと感じることもあります。そうなると定年まで正当に評価されればよいのですが、それはわかりませんよね。そうなるともっと正当な評価を得てキャリアを積みたいと感じるようであれば転職を考える必要があるでしょう。
転職はいくつになっても実現可能です。たしかに年齢が上がるにつれリスクは大きくなりますが、それでも新しい事やスキル向上に挑戦したい方は、ぜひ一度転職を考えてみてくださいね。
ルーティンワークばかりでスキルが積み上がらない
毎日ルーティンワークで同じ仕事をしていると仕事に対するモチベーションを保てなくなます。特に事務方や経理方などの仕事は営業職と違って仕事の成果が目に見えないので仕事に対して目標や新しいことにチャレンジすることもなく、スキルが上がりません。当然スキルが上がらなければ出せもなく年収も上がらずモチベーションも保てないことでしょう。今の状態ではいろんなことに挑戦したいと思っても難しいと感じたなら転職を検討するのもよいでしょう。
上司と部下の板挟みでストレスを感じる
中高年層は中間管理職の人が多いと思いますが、上司からの要求、部下からの要望や意見を聞き板挟みになる人が多いと思います。上司から部下から双方の意見を聞きながら仕事をしなければなりません。例えば、上司からの指示を部下にわかりやすく説明しなくてはいけない。また部下が指示通りに動かず成果が上がず、上司から圧力をかけられたりと言った人間関係のストレスや不満から転職を検討する人は多いです。しかし、中高年という年齢がネックとなり、人間関係にストレスを感じていながらも、転職を躊躇する人は少なくありません。人間関係からくるストレスが原因で、心身の健康状態が悪くなるようであれば早めの対処が必要です。もしもストレスを抱えている場合は、転職するしないに関係なく、身近な人や信頼できる人に相談するのも良いでしょう。
中高年の転職が厳しいと言われる4つの理由
具体的な理由を分かっていない人は多いのではないでしょうか?以下からは、中高年の転職が厳しいと言われる理由と覚悟についてお話します。
定年が近い
中高年層は、定年まで数年年くらいしかありません。いくら良い人材であってもしはらくすると定年を迎えてしまうのでまた、新たに人材を補充しなくてはならなくなるからです。
なので、企業としては長く働いてもらいたいためできるだけ若い人材を採用したいと考えるわけです。
新しい仕事を覚えるのが難しい
中高年がこれまで前の会社で経験を積んできたことで人格が完成されていてプライドが高い人も多い。
前職と同じ職種やポジションなどを求めるなどプライドがあり、なかなか新しい仕事を覚えるのが難しい場合がある。
採用コストがかかる
いくら中途採用と言えど20~30代の若い世代と同じ年収というわけにはいかないのも事実です。
なぜなら、中高年はスキルだけでなく、管理職などの経験を持つ人も少なくないからです。
そのような人材を採用するとなると人件費が高くなることも採用を懸念する理由です。
コスト削減と叫ばれている昨今、中高年よりも若い世代に人件費を使いたいという企業も多いはずです。
しかしながら、高い人件費を支払っても実績や能力があるなら別です。
体力面を懸念される
若い頃は多少の無理もできたけど、中高年層は、無理が効かなくなったという人も多いことでしょう。
中高年になると記憶力や体力の衰えを感じる年代です。現実的に体力的問題、健康面で仕事を減らすことを希望する人もいます。人によって個人差はあっても年齢的に体力面で若い世代と比べると体力的に劣るという判断になってしまいます。
したがって中高年は年齢と体力に見合った求人を探すことは大切なことです。
中高年が覚悟すべき部分
・正社員採用が少ない
・年収が下がる
・転職活動の長期化
正社員採用が少ない
中高年に対する求人数は、20歳~35歳という若年層向けの求人にくらべて、圧倒的に少ない。中途採用の年齢別の採用方針(令和元年9月27日 転職者・転職希望者をめぐる状況/厚生労働省職業安定局)によると、近年では中途採用を考えていない会社も増えています。
・あまり採用を考えていない 67%
・良い人材であれば採用したい 23.5%
・積極的に採用を強化したい 1.0%
年収が下がるリスクがある
50代後半で転職する場合、同じ役職もしくはそれ以上の役職につかないと、高い確率で年収は下がるし長年同じ会社で勤めている場合、役職がつき給料も30代、40代に比べて高いことがほとんど。しかし、転職に際して役職を離れると、役職手当がなくなるので給料が下がってしまいます。実際、転職して年収が減少したという回答が大半を占めています。
増加した | 変わらない | 減少した | |
50~54歳 | 32.0% | 32.9% | 34.1% |
55~59歳 | 20.5% | 30.1% | 48.8% |
参考:転職入職者の賃金変動状況 (令和3年)/厚生労働省
どれだけスキルや経験があったとしても、新しい職場では新人で実績も信頼も足りないため、転職してすぐに給料をあげてもらうことは難しいです。転職する前にある程度、給料が下がることも頭に入れておきましょう。
転職活動期間の長期化
中高年の転職は、内定を貰うまでに長い時間がかかる覚悟が必要です。「長期のキャリア形成のため」などの理由で年齢制限を設けている企業があるため、応募する企業を探すのに時間がかかります。
年齢不問であっても書類選考で弾かれる可能性は、30代の転職希望者よりも高いのです。
中高年の転職活動期間は、半年以上は当たり前で1~2年程度かかる人も居ます。転職先が決まるまで今の仕事は辞めずに、気長に取り組むことをおすすめします。
それでは一体、活動期間を長期化せずに転職を成功させるには一体どうしたらよいのでしょう?
中高年の転職が成功するための4つのポイント
中高年の転職が厳しいことはここまでで想像がつくことでしょう。では、どのような人が転職に成功するのでしょうか?
条件に対するこだわりを捨てる
いままで見てきたように中高年層の正社員の中途採用は狭き門と言わざるを得ません。特化したスキルと経験と実績があって応募した企業のニーズに合えば正社員雇用の道もあるのですが、すべての人が
正社員雇用の道が開けているとは限らないのです。そのためには正社員雇用という道以外にもパートや契約社員と言った非正社員という選択肢も視野に入れてみてはいかがでしょう。
「絶対に正社員」「今より年収が下がらないこと」など、条件に対するこだわりは捨てましょう。ひとつの企業で頑張って地域築いてきた人は、転職市場での自分の価値を高く見積もる傾向にありますが、現実は厳しいのです。
条件面のこだわりを捨てられない、年収が下がったら生活できないという場合には、転職しない方が良いのかもしれません。
どうしても譲れない条件以外は条件を緩めることにより転職先の選択肢が広がります。
専門的なスキル
これまで培ってきたノウハウやスキル、業界の専門知識、マネジメントスキルや人脈などは大きな武器になります。今までの経験を活かした業種で仕事を探すことで、新しいことを一から教える必要がなく即戦力として活躍できるような人を望む企業側とマッチし、転職成功に繋がります。
人脈を駆使する
中高年の転職は、縁故採用の割合が高い傾向にあるそうです。求人広告を見て応募するよりもライバルが少なく、年齢が不利になりにくいのですね。
中高年にはこれまでの仕事や、人生を通して構築してきた人脈と言う強い武器があります。過去に取引をした企業の関係者や友人・知人をあたってみましょう。
中高年の転職に強い転職サポートを使う
転職活動は自分だけで活動したり、職業安定所に通うだけではなかなか思うように進まないかもしれません。誰かに適切なアドバイスをもらうことができたほうが上手くいきます。ましてや中高年層の転職は厳しいと言われている中、自分だけで転職活動するのは精神的にも疲れてしまいがちです。
そんな時、転職サイトや転職エージェントという転職に強いサポートを使ってみるのもいいでしょう。
転職エージェントを利用すれば、希望条件にあった求人を探してくれたり、応募書類の添削や面接対策もしてくれます。
またキャリアアドバイザーという人が適切なアドバイスをしてくれるので採用の確率が高まる可能性もあります。
転職サイトと転職エージェントの違い
転職サイトと転職エージェントの違いについてカンタンにご説明します。下記は転職サイトと転職エージェントの比較表です。
転職サイトは、求人検索から入社まで転職活動をすべて一人で行うもの。
転職エージェントは、求人検索から入社までアドバイザーと二人三脚で行う転職サービスです。
大きな違いは、担当アドバイザーの有無です。
転職エージェントの担当アドバイザーは求職者の転職活動をサポートするのが役割のため、転職活動期間は密に連絡を取り合うことになります。
求人検索
転職サイト :自分で検索できるが、制限なく求人を調べられる
転職エージェント:アドバイザーが紹介される数(平均10~20件)
好きなように求人検索をしたいという人は転職サイト。求人検索に時間がないという人は転職エージェントが向いています。
求人の質
転職サイト :安い掲載料で求人が載せられる。
大量採用が目的の企業や採用コストを抑えたい企業も利用している
転職エージェント:採用した人材の年収の3~4割もの金額を求職先企業が手数料として支払う
成長が著しい企業が多く、求人の質が高い企業に直接訪問して労働環境を
チェックしており、ブラック企業を紹介されにくい
サポート
転職サイト :スカウトメール、適職診断、メールでの求人紹介、条件交渉は個人でする。
転職エージェント :転職相談、企業情報収集、応募企業とのやり取り、応募手続き、
書類作成サポート、面接対策、面接のフィードバック、条件交渉
転職エージェントの方は担当のアドバイザーがいろんなサポートをしてくれます。
また、条件交渉とは、年収や役職、入社日、休日、各種手当の交渉なども転職エージェントのアドバイザーが引き受けてくれます。
また転職エージェントでは退職サポートの有無も存在します。退職サポートとは円満退職方法や引継ぎの進め方などの指導をしてくれます。
こうして転職サイトと転職エージェントを見ると転職エージェントの方がよく見えますが、一概に良い面ばかりでもないのです。
次に転職サイトのデメリットと転職エージェントのデメリットについてお話します。
転職サイトのデメリット
転職活動のサポートがない |
非公開求人に応募できない |
企業への条件交渉などは自分でしなければならない |
転職エージェントのデメリット
自分のペースで転職できない |
応募できる求人が限られている |
担当者アドバイザー次第で転職の質が変わる |
長期サポートに期待できない |
自分のペースで転職できない
転職エージェントでは転職意欲が高い人から優先的に求人が紹介されるため、アドバイザーと積極的に連絡をとったり短期間での転職を目指す必要があります。
また「企業と日程調整の代行」「選考サポート」などの転職支援が魅力的な一方、その分アドバイザーとの連絡が多くなるということ。
マイペースな方にとって常にアドバイザーからの連絡に気をつかう転職活動は疲れてしまうため、転職サイトを利用するのがおすすめです。
応募できる求人が限られている
企業は転職エージェント側へ「こういう人材が欲しい」と希望を伝えているため、コンサルタントから選考に通ることが難しいと判断されるとその企業へ応募はできません。
転職エージェントで応募できないと判断されたがどうしても応募したい求人を見つけた場合は、転職サイトや企業のホームぺージで求人を探し直接応募しましょう。
担当者次第で転職のサポートの質が変わる
担当アドバイザーの質へ依存度が高い転職エージェントは、サポートの質が悪いと最悪の場合転職活動が失敗する可能性も出てきます。
また質の悪いアドバイザーに当たった場合は、公式HPに記載されている問い合わせ窓口や担当者本人へ担当者変更の申し出をしてください。
長期サポートは期待できない
転職エージェントは求職者が企業に入社することで報酬を得ているため、回転率を上げるために中には3ヶ月・6ヶ月などサービスの提供期間を設定しています。
転職サポートをじっくり受けたい方は、「無期限で転職支援を行うエージェントを選ぶ」「転職意欲の高さをアピールしつつアドバイザーに事前に相談する」ことをお勧めします。
さて、ここまでお話してきましたが、結局「転職サイト」と「転職エージェント」のどちらを利用すべきなのか迷う人がいることでしょう。自分によくあてはめて考えてください。
【転職サイトと転職エージェント】どっちを利用すべき?
転職活動が初めての人 → 転職エージェントがおすすめ
多くの企業求人を検索したい人 → 転職サイト
早く転職先を見つけたい人 → 転職サイト・転職エージェントの併用
自分のペースで転職活動をしたい人 → 転職サイト
転職活動に大きな不安を抱えている人 → 転職エージェント
目指したい業界が決まっている人 → 希望の業界に特化した転職エージェント
上記のようなことを目安に転職サイトと転職エージェント上手く活用してください。
中高年の転職におススメの転職サービス
転職サイト名 | 求人数 | 強み | 5段階評価 |
リクルートエージェント | 76万4,886件以上 | 中高年の転職支援に豊富な実績を持つベテランアドバイザーも多数在籍 | 4.4 |
リクルートダイレクトスカウト | 25万1,400件以上 | 利用者の大部分が30代後半、40代、50代の中高年! | 4.3 |
ビズリーチ | 9万4,451件以上 | 国内最大級の求人数と転職支援実績を誇る会員制転職サイト | 4.4 |
リクナビNEXT | 約10万556件 | 求職者の約8割が登録する転職サイトの最大手 | 4.2 |
パソナキャリア | 約3万5,365件 | 利用者の年収アップ率67.1%。40代はもちろん、50代の転職もエキスパートキャリアチームが支援! | 4.2 |
人気転職サイトの例をあげてみましたが、他にもたくさんの転職サイトがあります。専門分野に特化したサイトもありますので、自分に合った転職サイトを見つけてください。
まとめ
ここまで、中高年の転職事情、成功のポイントを話してきましたが、どのように行動したらいいのかわからないという人のために転職サイトと転職エージェントについても話してきました。
転職サイトは自分のペースで自由に転職活動ができ、転職エージェントはアドバイザーからサポートを受けながら転職活動を進められます。
どちらも特徴が異なるので、自分に合う転職サービスを利用することが大切です。
転職サイト・転職エージェントの特徴を比較して自分にぴったりの転職サービスを見つけてください。