お聞きしますが、真空って知ってますか?
真空パックならわかるけど真空といわれてもねぇ
それが普通の人の反応だと思います。
私も真空パックは知っていましたが真空となると全く知りませんでした。
真空パックならスーパーで食品などで見かけるけど
そうですよね。真空といわれてわからないですよね。
でも真空って意外に私達の身近にあふれているんです。
私たちの身の回りの真空ってどんなものがあるのか?
真空って何か、カンタンにお話していきましょう。
真空とは
結論から言ってしまうと真空(しんくう)とは、大気圧よりも圧力が低い空間のことを言います。
大気圧は地球で言えば”空気によって発生する圧力のこと”で、この真空の定義についてはJIS(日本工業規格)によって決められています。
ただ真空と言えばほとんどの人が頭の中で想像するのは、”空気が全く存在していない空間のこと”のように思いますよね。確かに空気が全く存在していない空間も真空とは言うのですが、専門的には”完全真空”や”絶対真空”と区別して言われることが多いです。
しかし完全真空(または絶対真空)という言葉は空気だけでなく、その空間に物質が何も存在しないときに使用されます。
真(まこと)に物質が何も存在しない空間だから、真空と言います。工学的、技術的に周囲に比べて十分圧力が低い状態、物質が全く存在しない空間を完全真空といいます。
この真空によって食品の真空パックがあり、今では家庭でも手軽にできる真空パックの機械が売っていますね。もちろん、家庭で使われる簡易形の真空パックの機械とメーカーの機械とではパックされた商品の保存期間や保存率など大きな差がありますが、以前は真空パックといえば、パウチが有名でした。
定期券やアイドルの写真などをパウチして持ち歩いたことがあるはずです。
ただ、真空パックだけが真空の世界ではなく乾燥、含浸、蒸着と言った真空の種類がありますが、ここでは身近な真空で作られたものをご紹介します。
こんなものも真空で作られているのかと思えば真空という概念が身近に感じることでしょう。
真空でできるもの
吸引・吸着・ガス収集・成形・液体の充填・ガス置換・酸化防止・凍結乾燥・真空乾燥・蒸留・濃縮・脱気・脱泡・真空蒸着・スパッタリング・断熱・冷却など、多種多様にありますが、私たちの日常の生活の中ではどんなものが真空で作られているのかをご紹介します。
吸引
空気を容器から排気する際に生じる大気圧を利用して、吸引します
用途
・医療機器(歯の治療中に唾液を吸引する器械、脂肪吸引機)
・布団や衣料の圧縮
・新幹線や長距離移動用の乗り物に使用されているトイレ
・牛の乳搾り機
吸着
ある空間を真空状態にすることで生じる大気圧との圧力差を利用して吸着します。 真空吸着はチャックとも呼ばれており、品物の固定や、搬送に利用されています。
卵のパック詰めやガラス板の搬送など、衝撃に弱いものの運搬
・お菓子を袋詰めする際に袋の口を広げる作業器械
液体の充填
気密容器の中を真空排気して、容器の内側と外側に発生する圧力差で、液体を引き込みます。
・弁当用の醤油入れの中に醤油をいれる
・化粧品など粘りのある液体を容器に詰める(ドレッシング・マヨネーズ・ソースなど)
・プリンターのインク、ボールペンのインク
酸化防止
密閉された空間を、真空ポンプで排気していくと、空間に存在した酸素が外に吐き出されて、酸素を取り除くことができ真空状態では、酸素量が減少する ため、酸化による物質の変化を抑制することが可能です。
用途
・食品の保存(真空パック)
・ドライフラワー
・押し花
・金属の加工
・クリーニング後の衣料の保管(真空包装)
凍結乾燥
材料を凍結状態のまま真空乾燥させる方法です。
用途
・インスタントコーヒー
・インスタントラーメン
・抗生物質
・血液製剤
・ワクチンなどの注射液
蒸留
用途
・乳化剤などの食品添加物(パン、ケーキ、アイスクリームなどに使用)
・ビタミン類(健康食品、医薬品)
・蒸留酒(焼酎、ウイスキー)
・ポリアミド樹脂(圧着テープ、ラミネート)
・潤滑油(金属加工油、エンジン油・真空ポンプ油
脱気・脱泡
材料を入れた密閉容器を真空に排気すると、材料に溶け込んだ空気が膨張し、泡状になって飛び出す原理を利用したものが、真空脱気です。
用途
【脱気】・電子部品、半導体
【脱泡】・接着剤・絶縁材・電子材料・樹脂材料・医薬品(軟膏、歯科材料)・化粧品(口紅、化粧クリーム)・建材(シーリング材、ガラス、人工石)・自動車部品(マスターモデル、シール材、樹脂、塗料)・コシを出す(うどん、ラーメン、パスタなどの麺類)・エアインチョコレート
蒸着
個体である物質を減圧状態において熱を加え、蒸発させて、基板となる物質に個体の皮膜をつくる現象を利用した薄膜形成の方法の一つです。
用途
・サングラスのレンズ
・自動車のバックミラー、ヘッドライトのコーティング
・携帯電話に使用する水晶振動子
・カナダの50ドル紙幣(偽札防止)
まとめ
真空パックは身近に感じられても「真空」となるとまるで別世界のように感じますが、私たちの日常生活の中に溶け込んでいるのがわかりましたか?
日常当たり前のように購入したり使用しているものにもいろんな工程やいろんな技術が使われているのです。
ちょっと視点を変えてみたら物を見るのも良いかもしれませんね