最近、テレビのCMで流れている50歳からの帯状疱疹。
見たことありますよね。でも自分には関係ないって思っていませんか?
この帯状疱疹ってある日突然、体に出てくるんですよ。帯状疱疹とわからずにアレルギー反応や化繊かぶれ、蚊に刺されなどと勘違いすること人も多いことでしょう。かくいう我が主人も50歳を過ぎた頃二度も帯状疱疹になりました。
最初はアレルギー反応や虫さされだと思っていましたが、チクチクと針に刺されたみたいな痛みが続いて赤く小さなぶつぶつが出てきていました。主人の場合は内側のふとももでしたので化繊かぶれを疑い、薬局で軟膏を買ってつけていたけどなかなかよくならないどころかますます広がっていった赤いブツブツ。
さすがにおかしいと思い皮膚科へ受診したら帯状疱疹だと診断を受けました。ちょうど8月に入ったばかりの頃、お盆休みに旅行の計画を立てていたのですが、外出禁止といわれ、あえなく旅行は断念するハメになりました。
今みたいにテレビで帯状疱疹なんて言ってなかったのでよく知りませんでした。
それでは帯状疱疹ってどんな病気?予防は?治療は?をここでお話していきます。
帯状疱疹ってどんな病気?
身体の左右どこかに痛みやかゆみを伴い、赤いブツブツの発疹が出てきます。
すぐに小さな水ぶくれに変化し広がっていきます。一部には膿がたまったりもします。その後かさぶたとなって皮膚症状は治癒しますが、その後も痛みが残る場合があります。それを帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼ばれる合併症です。帯状疱疹は一定の頻度で発症することもあります。
初期症状
初期症状は身体の左右いずれかの神経に沿って生じる皮膚の痛みやかゆみや違和感。
最初は違和感やかゆみが出て次第に痛みが生じてきます。「チクチク」「ピリピリ」の他に「焼けつくような」という表現もありますが、程度は様々です。このかゆみや痛みが出るまえに発熱したりリンパ節が腫れたりすることもあります。
発疹場所は人それぞれで皮膚の痛み、かゆみ、違和感が生じた場所に現れ小さなブツブツが出てきます。時間が経つごとにそのブツブツは広がっていきます。
やがてそのブツブツは水ぶくれに変化していきます。この水ぶくれが次第に数を増やしていき、新しいものと古いものが混在し帯状に分布していくことから帯状疱疹と呼ばれています。
発疹の部位
水ぶくれは、血液を含んで黒ずんだ色になったり、膿がたまることもありますが、水ぶくれや膿は1週間ほどで破れかさぶたになり皮膚症状は3週間前後で治りますが、色素沈着や傷跡が残る場合もあります。
1.顔
発疹が出る部位は様々ですが、身体の左右どちらかに現れます。多くは上半身にみられ、上肢~胸背部が約30%腹背部が約20%顔面や目の周りに現れることもあります。
2.首
肩から首筋の激しい痛みや腕があげられないといった運動麻痺の症状も出ることがあります。
3.腕
帯状疱疹は片側の神経に沿って現れることから左右どちらかの腕や手に生じる痛みやかゆみ、発疹といた水ぶくれの症状が出ることもあります。
4.背中
背中は自分では皮膚変化を見難いので注意が必要です。
帯状疱疹の原因
水疱瘡と同じウィルス「水痘・帯状疱疹ウィルス」が原因です。水疱瘡になると治った後もウィルスは症状を出さない状態で体内に潜み続けていますので水疱瘡になった経験のある人は帯状疱疹になる可能性があります。ウィルスは背骨に近い神経に生涯にわたり症状を出さない状態で潜み加齢や疲労、ストレスによって免疫機能が低下すると形を変えて発症するのが帯状疱疹です。
潜伏期間
「水疱瘡・帯状疱疹ウィルス」に初めて感染すると通常は2週間程度で水疱瘡を発症しますが、帯状疱疹は免疫機能低下や加齢、疲労をきっかけに発症します。しかしその潜伏期間は一定ではないのです。
免疫機能の低下
水疱瘡というと子供の頃になる感染症ですが、水疱瘡が治った後も生涯にわたって症状を出さない状態で体内に潜んでいると、加齢や疲労、ストレスなどをきっかけに免疫機能が低下すると帯状疱疹を発症します。
帯状疱疹の発症
免疫機能が低下すると背骨に近い神経に症状を出さないで潜んでいたウィルスが再び目覚め帯状疱疹を発症します。神経を傷つけながら皮膚に向かうので多くの場合、皮膚症状が現れる数日前に痛みが生じます。
帯状疱疹になりやすい人
帯状疱疹の発症には年齢が大きく関係しています。高齢になると発症しやすくなるのは加齢による免疫機能の低下が原因です。帯状疱疹の発症率は50歳以上で増加し、50歳代と60歳代では男性より女性の方が多いという結果も出ています。
前にも申し上げましたが免疫機能低下やストレス、加齢、疲労などによって発症しますが、骨髄移植や臓器移植後、白血病、悪性リンパ種のような血液癌の患者さんなど帯状疱疹になってしまう割合が高くなっています。
帯状疱疹にかかった場合の治療法
まずは帯状疱疹かな?っという疑いがあったら即座に皮膚科を受診してください。合併症や後遺症を引き起こさないためです。
帯状疱疹の治療法は、痛みや発疹がある間とその後に現れる帯状疱疹神経痛(PHN)の治療に分けられます。帯状疱疹を引き起こすウィルスに直接作用する抗ウィルス薬は症状が出てからなるべく早く治療を始める必要があります。帯状疱疹では痛みに対する治療も重要で速やかに皮膚科、内科、ペインクリニックなどの医療機関を受診し、医師と相談の上で治療することが大事です。
抗ウィルス薬による治療
帯状疱疹の治療には抗ウィルス薬を使用します。抗ウィルス薬は水痘・帯状疱疹ウィルスが活性化して活発に増えている段階でウィルスのDNAの合成を妨げることでウィルス増加を抑える働きをするのです。症状が軽い場合や中程度の場合内服薬の抗ウィルス薬で治療しますが症状が重い場合や免疫機能が低下している場合には入院による治療が必要になることもあります。
鎮痛剤で痛みを止める治療
帯状疱疹による痛みに対しては痛み止め治療が行われます。痛みは発疹が出るよりも先に現れることが多く、このような皮膚の痛みに対しては鎮痛剤が用いられることもありますが、あくまでも痛みに対する治療のため帯状疱疹そのものを抑えるには抗ウィルス薬の治療の両方が必要です。
また夜も眠れないほどの強い痛みが続く場合、神経ブロックと呼ばれる治療も必要になります。神経ブロックとは神経の近くに局所麻酔薬を注入し、神経の伝達をブロックする方法です。
塗り薬(外用薬)を使った治療
抗ウィルス薬の塗り薬はごく軽傷の場合とウィルスの活性化が抑えられている場合に使用します。また
局所麻酔や発疹によってできた皮膚の傷に対して抗菌薬などの塗り薬を使用される場合があります。
帯状疱疹後神経痛(PHN)の治療
皮膚の発疹がなくなった後も残る神経性の痛みを帯状疱疹後神経痛(PHN)といい、神経に関係する痛みが残る場合があります。痛みが長期間続いた場合PHNの疑いがあります。
PHNは「刺すような痛み」「焼けるような痛み」と言われています。3ヶ月以上痛みが続いた場合にPHNと診断される場合が多いです。
保険適用のある鎮痛剤補助薬を使用しますが、効果が得られない時はオピオイド鎮痛剤という麻薬性の薬を使用することもあります。基本的には薬による治療が中心ですが、それに加えて神経ブロック注射やレーザー治療が必要になることもあります。
帯状疱疹の予防
予防にはTVのコマーシャルにもあるようにワクチン接種と日常生活上の留意点についてお話します。
50歳以上の人は予防接種を受けることができます。子供の時に水疱瘡・帯状疱疹ウィルスに感染した人はウィルスに対する免疫を持っていますが、年齢とともに弱まり帯状疱疹を発症することが多くなります。
そのため、ワクチンを接種して免疫の強化を図ろうというのが予防接種です。
ワクチン接種
ワクチンには2種類あります。
具体的には弱毒化生ワクチン「ビケン」と不活化ワクチン「シングリックス」から選択できます。
それぞれの違いを見てみましょう
乾燥弱毒水痘生ワクチン・ビケン | 不活化ワクチン・シングリックス | |
ワクチンの種類 | 生 ワクチン | 不活化ワクチン |
接種方法・回数 | 皮下注射・1回 | 筋肉注射・2回 2か月後に2回目接種 遅くとも6か月までに接種 |
発症予防効果 | 51.3% | 50歳以上 97.2% 70歳以上 89.8% |
帯状疱疹後神経痛抑制効果 | 66.5% | 50歳以上 100% 70歳以上 85.5% |
持続期間 | 5年程度 | 9年以上 |
副反応 | 軽度の接種部位の痛みや腫れや発赤 ※3~7日で消失 | 接種部位の痛みや腫れや発赤 倦怠感、頭痛 ※3~7日で消失 |
費用 | 8000円(税込み) | 22,000円/1回(税込み) |
長所 | 1回で済む 費用が安い | 予防効果が高い 妊婦や免疫が低下していても接種できる 持続期間が長い |
短所 | 妊婦や免疫が低下している人は接 種できない 持続期間が短い | 費用が高い 副反応が比較的強い (接種部位の痛み78%) 2回接種が必要 |
費用が高いように思いますが、自治体によっては助成金が設定されています。
その助成金の金額は自治体によって異なりますのでお住まいの自治体のホームぺージや問い合わせしてみるのがよいでしょう。自己負担だけでは高額でも自治体の助成金があればワクチン接種も受けやすいでしょう。
日常生活における留意点
帯状疱疹の発症には、免疫機能の低下が関係していると言われています。加齢や疲労やストレスによって免疫機能が低下すると潜伏していた水痘、帯状疱疹ウィルスが活性化しやすくなり、健康な高齢者でも加齢によって免疫機能が低下していると考えられるので発症しやすくなるのです。
日ごろから十分な休息を取りながら免疫機能の意地を心掛け、規則正しい生活を送るのがいいでしょう。
一般的には好き嫌いのある食事、運動不足、睡眠不足などが免疫機能を低下させる原因と言われています。
下記のことに注意して日常生活を送ってください。
食事・・・・好き嫌いなく栄養のバランスよく摂り暴飲暴食は避けること
運動・・・・散歩やウォーキングなど体温が少し上がる程度の運動と、日弘を浴びること
激しい運動や長時間のトレーニングは逆に免疫機能を低下させるので軽い運動を心掛ける
睡眠・・・・身体をメンテナンスするもので規則正しい生活と適度な運動で質の良い睡眠を得る
音楽・・・・テレビや映画を観たり、瞑想や入浴など自分なりのストレス解消法を見つける
これらのことに注意して日常生活を送って行きましょう。