物価高騰でいろんなものが値上がりしている現在、年金支給額だけでは生活が難しい時代。
そこで少しでも老後の蓄えの足しに何か始めようとする中高年や初心者の人もいるでしょう。
しかしながら、銀行や郵便局にお金を預けても金利はゼロに等しい。生活の中から捻出するお金に少しでも高い金利が付いてほしいと思うのは当たりまえのことです。
最近、耳にする言葉で「NISA」という言葉がありますが、正直どういうものかわからないとういう人が意外に多いのではないでしょうか?
「NISA」について知っている人は全体の20~30%くらいと言われています。まして中高年や投資したことのない人にはどういうものかわからないはずです。そこでここではカンタンに「NISA」の仕組みと
初心者、初心者中高年向けにご説明します。
結論から言うとNISAを始めるなら初心者は「つみたてNISA」がおススメです |
それでは、なぜおススメなのかをこれからご説明していきます。
まずは最大の疑問「NISA」ってナニ?からお話していきましょう。
NISAとは?NISAの仕組みと違い
通常、株式投資や投資信託などの金融商品に投資した場合、発生した売買駅や受け取った配当に対して約20%の税金が課せられます。
その20%の税金が非課税扱いになるのが「NISA」なのです。
つまり、個人投資家のための税制優遇制度です。
正式には少額投資非課税制度といい、イギリスのISA(Individual Saving Account)を参考に導入されたもので日本(NIPPON)の「N」をつけて「NISA」となりました。
それでは「一般NISA」と「つみたてNISA」があり、大きな違いは非課税期間と年間投資額です。
非課税期間は一般NISAが5年、つみたてNISAが20年。
年間投資額は一般NISAが年間120万円まで、つみたてNISAが年間40万円まで投資できます。
一般NISA | つみたてNISA | |
開始年齢 | 20歳以上 | 20歳以上 |
制度開始 | 2014年1月より | 2018年1月より |
非課税保有期間 | 5年間 | 20年間 |
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 |
投資可能商品 | 上場株式・ETF・公募株式投信・ REIT等 | 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託 |
※公募株式投信・・不特定及び50名以上の投資家に向けて、募集をかける投資信託のことをいいます。
※REIT・・REIT(リート)とは、投資家から集めたお金を不動産に投資し賃貸収入や売却益を投資家に分配する不動産投資信 託のことです
※参照:金融庁:NISAとは
一般NISA
一般NISAは投資対象の選択肢が広く、自分で具体的な投資対象を選びたい人やより大きな金額を投資したいと考えている人に向いています。
つみたてNISA
つみたてNISAとは、特に少額で定期的に投資を行い、長期に資産を増やします。投資対象は金融庁が定めた基準をクリアした厳選された商品のみと限定されているため、選択肢が少ないのでむしろ初心者に向いています。一般NISAとつみたてNISAは併用できないので、どちらかを選択しなければなりません。
つみたてNISAのメリット
つみたてNISAが初心者や中高年に向いていることをお話ししました。それではどんなメリット、デメリットがあるのでしょうか?大きくわけて次のようなメリットがあります。
- 投資対象は金融庁によって決められているから安心
- 定期的な積み立て投資
- 20年間という長い非課税期間
1.投資対象は金融庁によって決められているから安心
つみたてNISAは投資対象が金融庁によって決められているため、初心者でも安心して投資ができます。
投資対象は非課税期間が20年と長い上に長期間の運用が想定されるため、金融庁によって少額投資が可能な長期投資に向いている商品のみに厳選されているからです。
つみたてNISAで購入できるのは、低コストの投資信託やETF(上場投資信託)です。
2.定期的な積み立て投資
積み立て投資とは一定期間ごとに一定金額を投資する方法です。つみたてNISAは長期間にわたって積み立て投資できるので、初心者や中高年には手間かけずに安定した投資ができます。
つまり自動的に毎月同じ日に同じ金額を投資するように設定するだけでいいのです。
積み立て預金と同じようなイメージです。これにより大きな金額を自分で投資した場合、大きな損失のリスクを軽減できるのです。
3.20年間という長い非課税期間
つみたてNISAは非課税期間が20年と長いので、長期運用が可能になります。運用期間が長いと複利効果が大きくなりやすく、元本割れの可能性も低くなります。
投資で得た利益でさらに投資して利益を生み出し雪だるま方式に利益が増えていくことを複利効果といいます。これは分配金を受け取らずに再投資するわけで分配金を元本に足して次の投資にまわすため運用期間が長ければ長いほど複利効果が大きくなるわけです。
つみたてNISAのデメリット
メリットがある一方でデメリットもあります。次のような注意点があります。
- 元本割れの可能性がゼロじゃない
- 損益通算ができない
- 非課税期間終了後、課税口座へ移行するか売却するかの2択
※つみたてNISAはあくまでも「投資」なのでデメリットがゼロではありませんので注意点をよく理解した上でNISAを始めるか判断してください。
1.元本割れの可能性がゼロじゃない
「元本割れ」とは、投資した金額より少ない金額が手元に残ることを意味します。投資対象となる金融商品の価格が下落すると元本割れが発生するのです。
つみたてNISAは投資対象が厳選されているとはいえ、元本割れする可能性はゼロではないのです。いろんな要因がありますが、主に師匠の変動により商品の価格が下落することもあるのです。
しかし、元本割れはつみたてNISAだけでなくすべての投資に共通するリスクです。また、積み立て投資を長期運用することで元本割れの可能性は低くなるし、持ち続ければ価格が上がることも高いです。
2.損益通算ができない
損益通算とは、投資で得た利益と損失を相殺して税金を計算することです。つまり、つみたてNISAで出た損失と他の特定口座や一般口座で出た利益とで損益通算ができないということです。
例えば、A口座で20万円の損失を出し、B口座で30万円の利益が出たとすると、通常は20万円の損失と30万円の利益で10万円に税金がかかるのですが、損益通算ができないということはB口座30万円の利益全額に税金がかかるということなのです。それがつみたてNISAのデメリットです。
3.非課税期間終了後、課税口座へ移行するか売却するかの2択
つみたてNISAの非課税期間終了後の選択肢は次の通りです。
- 課税口座へ移管
- 売却
例えば、40万円で購入した金融商品が30万円に値下がりした時点で非課税期間終了し課税口座へ移管した場合、移管後は30万円で購入したものと扱われてしまい売却する時に課税されてしまいます。
それゆえ、つみたてNISAはいつでも売却可能なのです。20年間またずに利益が出ていれば将来いくらになるかシュミレーションしてみたところ下記のような結果になりました。
例)年間投資可能額は40万円、毎月の積立金額が3万円の場合積立機関20年、利回り年利3%、5%、7%で計算した結果次のようになります。
年利 | ①元本 | ②運用収益 | ①+② 最終積み立て金額 |
3% | 720万円 | 264.9万円 | 984.9万円 |
5% | 720万円 | 513.1万円 | 1233.1万円 |
7% | 720万円 | 842.8万円 | 1562.8万円 |
つみたてNISAの始め方
それでは、つみたてNISAってどうやって始めたらいいかそのための順番をご紹介します。
1.金融機関を選択
つみたてNISA講座の開設する金融機関を選びます。
銀行や証券会社もありますが、今、おススメなのはネット証券会社です。
なぜなら、ネット証券会社は銀行や実店舗のある証券会社に比べて手数料が安い、100円から始められる上にクレジットカードを使って投資が出来たり、またポイントサービスがついたりするからです。
※ネット証券で人気があるのは、「SBI証券」「楽天証券」
「SBI証券」の特徴
最低積み立て金額が100円からと低く設定されているので投資初心者や少額から始めたい人におススメ
100円から積み立て投資が可能 ポイント還元サービスが充実 投資金額に応じてポイントが増加 |
※「楽天証券」の特徴
普段から楽天グループのサービスを利用する人にはおススメ
手続きがシンプルで分かりやすい サイトデザインが初心者でも見やすい 条件に合った方法で積み立て投資すれば楽天ポイントが受け取れる |
※つみたてNISAの口座は1人に1つしか作れない
※一度決めた金融機関の変更は年単位でしか変更できない上に手続きに時間がかかる
上記のようなことがあるので、自分にあった金融機関を選んでください。
2.NISA口座の開設
金融機関が決まったらつみたてNISA口座開設に進みます。
ネット証券の場合は金融機関のウェブサイトから開設が可能になります。
口座開設にあたっては、マイナンバーカードと本人確認書が必要です。
3.投資する商品の選択
口座開設が完了したら、次は投資商品を選択します。
つみたてNISAでは投資信託やETF(上場投資信託)が対象商品になります。あなたの投資目標にあった商品を選んでください。
※投資初心者には手数料が低く、分散投資されたインデックス型の投資信託から始めると良いでしょう。
4.金額を決めて積み立ての設定
毎月の積立金額の設定をします。つみたてNISAは年間最大40万円まで投資可能なため、年間投資可能額は12ヶ月で分けると毎月最大3万3千円が積み立て金額となります。自分の収支に合った金額、安定して投資できる金額を設定すると良いでしょう。
金融機関のウェブサイトやアプリで積み立て設定を行い、積立日や積み立て金額を指定して設定するだけです。後は指定日に自動的に投資が行われます。
2024年から始まる新NISA
現行のNISAには投資できる金額や期間に制限があります。
一般NISAは年間120万円までの投資が可能で非課税期間は5年。
また、一般NISAと積み立てNISAは併用できないため、どちらかを選ばなくてはいけません。
しかし、2024年から始まる新NISAではこれらの制限が撤廃されることになります。
新NISAの5つのポイント
- 現行のNISA制度では、つみたてNISAは20年、一般NISAは5年と非課税保有期間が定められていましたが新NISA制度では非課税保有期間が無制限になります。
- 年間投資上限額が「つみたて投資枠」で120万円、「成長投資枠」で240万円合計で360万円に拡大します。
- 非課税保有限度額(累計の投資上限額)が全体で1800万円に拡大します。(成長投資枠は内1200万円まで)
- 現行のNISAの精度では、口座開設期間に定めがある期間限定の精度でしたが新NISAでは制度が恒久化します。
- 現行のNISA制度では「つみたてNISA」と「一般NISA」の併用はできませんが、新NISA制度では同一年に「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能です。
どういうことかというと、
例えば、2018年から2023年までつみたてNISAを満額投資していた人は新NISAの1800万円とは別に240万円(40万円X6年)も非課税として20年持ち続けることができるというものです。
2023年までのNISA | 2024年からのNISA | |||
一般NISA | つみたてNISA | 成長投資枠 | つみたて投資枠 | |
貸付可能期間 | 2023年末 | 2023年末 | 恒久化 | 恒久化 |
非課税期間 | 5年 | 20年 | 無制限 | 無制限 |
年間投資額 | 120万円 | 40万円 | 240万円 | 120万円 |
非課税保有限度額 (総枠) | 600万円 | 800万円 | 合計1800万円 内、成長投資枠の上限は1200万円 | |
投資対象 | 株式・投資信託 | 投資信託 | 株式・投資信託 | 投資信託 |
まとめ
ここまでNISAについて解説してきました。
NISAには「一般NISA」と「つみたてNISA」があり、どちらかを選び、投資による利益に対して税金がかからない。
つみたてNISAは厳選された金融商品に定期的につみたて投資ができ20年間非課税ですが、元本割れや損益通算ができないというリスクもあります。
2024年からの新NISAは現行のNISAで購入した資産は別枠で持ち続けながら新NISAの非課税保有限度額は1800万円までになりますが、今つみたてNISAを始めれば1840万円の非課税投資が可能となります。
また、投資は長期間行うほど福利の効果があるため早く始めることで非課税の恩恵に受けられるのでおススメします。
まだ、NISAを始めていない人は、早い検討をおススメします。NISAを活用して老後資金の運用に役たてましょう。